本文へ移動

スタッフ日誌

ステンレスという素材について1

2021-11-26
こんにちは、ベルキッチン品質管理企画課のNです。
 
引き続き素材について語ります。
(「素材」というと専門的で難しい部分や、言い回しに気を遣う側面もあります。極力配慮しながら書いていますが、伝え方に誤解を生む表現がありましたら申し訳ありません。)
 
ステンレスがキッチン=流し台に使われ始めたのは、昭和30年代に都市部で働く人たちのために建設された公団団地(公団住宅)からで、大量の流し台を供給しなければなりませんでした。ステンレスは軽量であり、腐食に強く、工場でのプレス工法により大量生産が可能となったことから、ステンレスカウンターの流し台が普及しました。それまでの流し台はコンクリート製、タイル製、ブリキ製などであったそうです。
鉄にクロムやニッケルを含ませた合金をステンレスと呼び、1910年ごろから実用化されました。
【意味 ステン:汚れ、金属ではサビ レス:ない 直訳 サビない金属】ただし実際には絶対にサビない素材ではなく、『サビにくい性質も持った素材』です。 
ステンレスの表面は『不動態被膜』で守られているおかげでサビにくいのですが、それは目に見えないほど薄く、傷がついても再生します。鉄にクロムを含ませたステンレスが持つ特性なのです。ステンレスにはたくさんの種類がありますが、一番有名なのがSUS304と呼ばれるもので、クロム18%、ニッケル8%を含有しているので18-8イチハチハチとも呼ばれます。ここまではご存じの方が多いと思います。今までの話を数字に当てはめると、ステンレスの含有量割合100%の中にクロム18%、ニッケル8%、残り74%は鉄なのでしょうか。いえ、違います。この74%にステンレスメーカーの秘密や企業努力が注ぎ込まれています。ほとんどは鉄なのですが、銅を含有させることにより抗菌作用を含ませたり、シンクなどの深い絞り加工を実現するための材料を含有したりします。ステンレスと言ってもほとんどは鉄が主成分ですので条件によっては、やはりサビてしまいます。
※画像をクリックすると全体が表示されます。
個人的な見解ですが、プレスされた箇所はステンレス鋼の変形により不動態被膜が不安定になり、プレスしていない箇所よりサビや汚れ、少し磁性が発生しやすくなります。また、溶接された箇所も溶接時の熱、徐冷されることにより素材に何らかの変化がおきることにより、サビや汚れが付きやすくなります。
今は見かけませんが、お客様が磁石をステンレスカウンターやステンレスシンクに当てて、くっつくか、くっつないかを確認して、くっついたらSUS430ではないですか?と疑問に思われる方がみえましたが、実際にはシンクをプレスした箇所で、くっつくというよりも、少し引っ張られる感覚がある程度です。
(SUS430をカウンターやシンクに使用するキッチンは『セクショナルキッチン』いわゆる流し台に使用することが多いです。システムキッチンの場合はほとんどがSUS304を使用しています。)
 
 
これらは、あくまでもこういったことがあり得る可能性ですので、日々のお手入れや説明書に従ってお使いいただければ、サビを発生させることはないと思います。衛生環境に厳しい厨房設備にはステンレスは必ず使用されていますので、キズがどれだけ付いてしまっても、キッチンとしては何ら問題なくご使用できますので、安心してお使いいただきたいです。
 
次回はステンレスの表面仕上げについてお話します。
TOPへ戻る